今回は、化石燃料車から電気自動車に変わりつつ中、水素自動車は普及するのかを探って見たいと思います。
水素自動車のメリットやデメリットを踏まえ、水素自動車について考えて見ましょう。
水素自動車の未来は?
水素自動車は本当に普及するのでしょう?
世界の自動車産業はどこに向かっているのか?
自動車産業の背景には、地球温暖化の取り組みでCO2削減目標が決められています。
世界的に国が電気自動車を推奨している実態は下記の様になっています。
日本:2030年まで新車の50%をEV/PHV
アメリカ:2035年までエンジン車の販売禁止
ドイツ:2030年までにエンジン車の販売を禁止
イギリス:2030年までにエンジン車の販売を禁止
フランス:2040年までにエンジン車の販売を禁止
インド:2030年までに新車は全てEV・HVにする。
中国:2019年よりEV・PHV・FCVを10%義務化
この様に、各国が人間による温室効果ガス排出に取り組む方針を掲げている以上、電気自動車(EV化)はこれから益々加速する事は間違いありません。
この状況下で水素自動車はどうなって行くのか?
水素自動車は、CO2排出ゼロなのに世界では電気自動車に力を入れているのはどうしてなのでしょうか?
水素自動車は2種類
水素をエネルギーとして走る自動車は、現在2種類のタイプがあります。
⒈FCHV タイプ
ガソリン自動車の様に内燃機関(水素エンジン)を持ちガソリンの代わりに水素を直接燃焼させて駆動する方式。
この方式は、ガソリン車で培われた技術を応用できる為、開発費を抑えることができます。
しかし、水素はガソリンと比較した場合、着火性が高い割に発生するエネルギー量が低いなどの問題があり、中々実用化が進んでいないのが現状です。
水素=水素爆弾とイメージしてしまう人が多い為、危険ではないかと拒否感が強いのも課題になっている。
⒉FCEVタイプ
水素を使用し、燃料電池で発電させモーターを駆動させる方式。
こちらは水素に直接点火する事は無い為、安心感が大きいと言えるでしょう。
また、電気自動車の技術を応用すれば直ぐに作る事が出来る。
一般的に燃料電池車と言えば、水素自動車のイメージが強いのでは無いでしょうか。
どちらも水素自動車と呼んでいます。
<ワンポイント>
ついでなので、燃料電池の簡単な仕組みを説明しておきましょう。
水素を使って発電?ピンと来ませんね!
簡単に説明すると、水の電気分解は学校で習った記憶があるのでは無いでしょうか?そうですね。水を電気分解すると水素と酸素に分解されます。
ピンと来た人もいると思います。
燃料電池は、この逆を行って電気を作っているのです。
水素イオンと酸素イオンを結合させると電気と水を作る事が出来ます。
ここで出来た電気を蓄えモーターに流し動力とするんですね。
一緒に出来た水は捨ててしまいます。これでCO2はゼロ排出です。
どちらも単に「水素自動車」と呼ばれることがありますが、
前者を『水素エンジン車』
後者を『燃料電池車(FCV=Fuel Cell Vehicle)』と呼び分けています。
水素自動車のメリットとデメリット
ここで水素自動車の良いところと悪いところを考えて見ましょう。
メリット
・CO2排出が無く、地球環境に優しい点が一番に来ると思います。
水素自動車の開発目的は、CO2排出ゼロを目的に進められたもの。
排出物は水だけなので、環境に優しいと言えるでしょう。
・燃料(水素)の補充時間が短い
電気自動車と比較した場合、水素充塡時間が短いのは大きなメリットと言えるでしょう。
電気自動車のフル充電に要する時間は8時間から14時間必要になるのに対し、水素燃料の充塡時間は5分から10分程度で済んでしまう。
この差は大きな利点と言えるのでは無いでしょうか。
・走行距離が長い
水素自動車は一回のフル充塡で走行出来る距離は850km程度(現行モデルのトヨタミライの場合)と長距離走行が出来る点と言えます。
電気自動車の場合は、バッテリーの容量にもよりますが、約350km〜450km程度。充電時間を考えると効率が悪い。
デメリット
・水素ステーションの数が少ない
真っ先に言える事は、水素ステーションの数がまだまだ少なすぎる事でしょう。
2021年時点で全国150箇所程度しか無く、まだまだ足りない。
電気自動車の急速充電が出来るステーションは、15,000箇所以上も普及している。それとは別に家庭でも充電可能。
水素自動車の場合は、家庭でと言う訳には行かない。
この水素ステーションの少なさが、水素自動車購入時に迷う点でもある。
・エネルギーコストが悪い
空気中の水素を集めて使用するわけでは無く、大量の水素を作らなけれなならない。
水素から電気を作り出す工程でも膨大なエネルギーを必要とする。
わざわざ水素を圧縮し、電気に変換するより、電気自動車の様に電気をバッテリーに蓄え、直接モーターを回した方が効率的であると言えるでしょう。
水素自動車の問題点と解決策
水素自動車の問題点は、大量に水素を作る必要がある。
では、どの様にして水素を大量生産するかを理解する必要がありますね。
水素の90%以上は化石燃料から作られているんですね。
と言う事は、化石燃料から何らかの方法で水素を取り出しているんです。
例えば、石炭を利用して水素1kgをつくる場合、約2倍のCO2が排出されていた事は、ほとんど理解されていません。
これを考えると現在のハイブリッド自動車と比較した場合、CO2の排出量はほぼ同量程度になってしまいます。
水素自動車自体はCO2排出はゼロなのに、水素を製造する時にCO2を排出しているのです。
これでは、地球全体で考えた場合には意味が無いと言えるでしょう。
それでは、どの様に水素を製造するば良いのでしょうか?
再生可能エネルギーを使用し、水素を作る必要があります。そう考えると電気を使って水素を作るのであれば、電気を直接バッテリーに蓄えて使用した方が効率的ではないかと考えるは当然の事ですよね。
もう一つ考えておく必要があるのは、水素のコストです。
水素の製造コストと水素の輸送コストは無視する訳にはいきません。
2021年の日本国内の水素ステーションの水素の価格は約1100円/1kg 前後で販売されています。
この価格が安いのかを比較して見ましょう。
ガソリン価格は、146円/1L (ハイオク)とすると
燃費15km/1Lとした場合、1km当たり9.73円になります。
それでは水素の場合
水素の価格は1100円/1kgで計算すると
1kg当たり129Kmで、1km当たり8.53円になります。
ハイオクガソリンと比較した場合、水素の方が若干安くなりますが、普通ガソリンと比較した場合は、ほぼ同等と言えるでしょう。
この様な状況下で水素を効率的に作る事が今後の課題である。
日本には、鉄鋼や多くの化学プラントが存在します。それらの製造過程で出る大量の排出ガスの中にも水素が含まれています。
この水素を効率的に取り出す事が可能であれば、かなりの量の水素量を確保することが出来る。
また、夢の様な話ですが、水を水素に分解する時に充電し、水素を燃焼させ水に戻す時放電させる事が出来れば完全なCO2ゼロのリサイクルが完成する。
世の中には頭のいい人がお勢いますので、是非実現可能にして欲しいと願います。
水素自動車は普及するのか? まとめ
結論は、水素自動車の普及はもう少し未来になる。
水素自動車は、とても魅力的で、日本がその最先端を走っている訳です。
電気自動車は、バッテリーとモーターが作れればどこの国でも簡単に作ることが出来ます。
電気自動車が主流になれば、日本の主産業が失われる危険性もあります。
クリーンな水素を作る事が出来れば、水素自動車が主流になって行く事は間違いないでしょう。
課題は、化石燃料を使わずクリーンな水素を大量に作る方法を見つける事でしょう。
水素自動車の未来は直ぐそこまで来ているのです。
日本から水素自動車を世界に送り出せるようみんなで応援しましょう!!
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